知的財産権とは?
特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。
特許庁より引用
この権利で保護された商品を無断で販売していると権利者から警告を受ける場合があります。
Amazonはもとより、ヤフーショッピングや楽天市場、Qoo10やその他のショッピングモールで販売している場合でも同じです。
「勝手に売らないでください」
というお叱りをいただいてしまうんですね。
せどりや転売に違法性はないのですが、この商標権には逆えないため注意が必要です。
この記事では商標権の侵害でクレームを受けた際の対処法についてお伝えしていきます。
- この記事の内容
商標権の侵害について知りたい
クレームを避ける方法を知りたい
このようなお悩みにお答えします。
- この記事の信頼性
商標権のクレームが来るタイミング
そもそも商標権のクレームはなぜ来るのでしょうか?
メーカーの立場になって考えてみましょう。
本来、自社の商品が販売されているのですからメリットがありそうに思います。
しかし、もし自社商品のニセモノが販売されてしまったり、デザインや商品名を似せた模造品が販売されてしまったら、利益を横取りされてしまいますよね。
そのようなことにならないよう、メーカーでは商品名・商品デザイン・著作権など商品のオリジナリティを保護するために、商品ごとに商標権を取得している場合があります。
商標権の保護は、お客様に対して適切なサービスや品質を保証するためにも役立っています。
模造品やニセモノが安く出回ってしまうと、そういった商品の品質が悪かったことが原因で怪我や事故、健康被害などが出てしまうことも考えられます。そうなってしまったら、自社のイメージダウンにもつながりかねません。
できるだけ、そのような違法販売を取り締まるために強力な専売権利を保持しているのが商標権です。
せどりで売るならホンモノなんだからいいのでは?
と考えがちですが、メーカーからすればどこの誰かわからない販売者に勝手に販売されているわけですから、ホンモノかニセモノかの判断ができるはずもなく、メリットとは言えない事情もあります。
品質のトラブルなどを招いたり、価格破壊を助長されたりする原因にもなるので、正規ルートで仕入れていない第三者の販売を認めてはくれません。
そのため、ネットで無断販売していると企業の法務部や担当者を介して、販売を取り下げるよう警告メールを送付してくるのです。
商標権侵害のクレームが来るタイミングですが、販売開始してしばらくすると届きます。
販売開始後すぐに来る場合もありますし、たまたま見つからずに数日から数十日経ってから来る場合もあります。
文面は様々ですが警告の内容としては、
販売の取り下げ要求
勝手に販売をした経緯の説明要求
仕入れ先の開示
などが挙げられます。
場合によっては「法的手段に訴えるぞ」と警告されることもあります。
基本的にはすぐに販売を中止して謝罪をすれば、それ以上大ごとには発展しづらいです。
ただし「〇日までに対応してください」というように対応の期日を切ってあることが多いので、期限内に解決するよう心掛けることが重要になります。
この期限を守らなかったり、あからさまに無視したりといった態度・印象を与えてしまうことは絶対に避けましょう。
警告通り法的措置に発展するリスクや、Amazonなどに通報され、アカウント停止になる危険性もあるので注意が必要です。
対応漏れを防ぐためにも、注文管理画面やメールのチェックは日々欠かさずにしておきましょう。
商標権の侵害でクレームを受けるとパニックになりがちですが、警告を無視したり、逃げようとしてもいいことはありません。
むしろ対応が遅れるほど印象が悪くなり、問題がこじれるだけです。
具体的な謝罪方法
警告が来てしまった際にはまず、すぐに対象商品を取り下げましょう。
そして丁寧なメールで謝罪をします。
商標権で保護された商品とは知らずに販売してしまったこと
御社(相手企業)に不利益をかける意図はないこと
今後、相手企業の商品を無断で販売しないこと
を自分の言葉で説明し、全力で謝罪文にします。
慌てて書いて誤字脱字が混ざったりすると印象が悪いので、気をつけましょう。
しっかり反省していることを相手に分かってもらうことが重要です。
期限内に返信をしたあとは、相手の出方待ちになりますが基本的には謝罪と商品の取り下げが確認でき、反省が伝わればそれで終了となり、返信が返ってこないこともあります。
あとは、取り下げた商品をうっかり再出品したりしないように、NGリストにして管理しておきましょう。
来やすいタイプをKeepaでチェック
商標権のクレームは「商品の取り下げ」と「謝罪」で解決しやすい問題ではありますが、アカウント停止のリスクも0ではありません。
Amazonであれば、メーカーの逆鱗に触れてしまうと「知的財産権侵害の疑い」や「知的財産に関する苦情」に報告が上がってしまい、アカウントの健全性にキズがついてしまいます。
ここからアカウント停止につながることがあります。
Amazonだけでなく、他の販路でも同様です。
知的財産権の侵害でアカウントが一発でつぶれることもあります。
迅速な対応で回避しやすいとはいえ、リスクは大きいです。
ですので、無用なトラブルを避けるため、商標権のクレームに繋がりそうなメーカーや商品についてはできるかぎり扱わないようにするのが最善です。
実は、商標権の侵害でクレームを受けるのは、ごく一部のメーカーや商品に限られます。
基本的には自由競争で販売できる商品のほうが圧倒的多数です。
仕入れ判断でKeepaを利用する際は、グラフの動きからある程度予測することが可能です。
そこで、リサーチの段階でそういった商品を見極めていくポイントをお伝えします。
価格がずっと一定の商品
価格が定規で引いたように一定のグラフは専売カタログの可能性があります。
このような場合、出品者数を合わせてチェックしてみましょう。
出品者数も一定数で固定されていて、1名増えてすぐに減ってしまっている形跡があるようであれば、商標権侵害で取り下げを余儀なくされた可能性が非常に高いので仕入れ対象からは外していきましょう。
急に出品者が減っている
出品者が急に激減して相場が戻っている場合があります。
人気商品が売れたときなどでもこのような現象は起きますが、その場合は同時に価格やランキングが上昇しています。
それがなく、出品者だけが激減しているときは、商標権のクレームにより一斉摘発された可能性が濃厚です。
このようなケースでは、出品者の急増やそれによる値崩れがひとつのトリガーになって、商品価値を守るために警告が発せられたことが予測できます。
公式ショップが販売している
商品名に「公式」と書かれていたり、販売者名に「直営店」「直販」などの表記があれば要注意です。
製造元が直接販売していると、一定の確率で商標権のクレームが来る可能性があります。
Keepaのグラフ推移を確認して、上記のような特徴がなければ安全かもしれませんが、そこを攻めることはリスクにつながることも理解しておきましょう。
代理店、正規品の表示がある
商品名や販売者名に「代理店販売」や「国内正規品」のキーワードが入っている場合も避けたほうが無難です。
代理店とはメーカーが直接契約して販売を認めた販売者のことで、保証の管理をしています。
代理店契約をせずに販売をしてしまうと、警告を受ける可能性が高いので仕入れ対象からは外したほうが無難です。
販売店名に「商標」の文字が入っている
商標登録してあることを明示しているのでAmazonで販売するのは避けましょう。
他販路で販売する分には黙認される場合もありますが、単にチェックが及んでいないだけで発見されれば警告が来るリスクは高いので、扱わないほうが賢明です。
商品にメーカーのロゴが入っている
あまり聞いたことのないブランドで、商品画像にそのブランドのロゴが入っている場合も注意しましょう。
ロゴに商標権がかかっていて、警告を受ける場合があります。
独特なデザイン、特徴的な商品名などをロゴにしている場合はかなりリスクが高いです。
このほかにも、
健康食品、化粧品ではクレームが発生しやすい
初回限定価格で購入できるサプリメントなどを販売すると警告が来やすい
などにも注意が必要になります。
このような特徴がある場合は、できるだけ仕入れを避けることをお勧めします。
ただ、これらをチェックしたからといって100%防ぎきれるわけではないので、気を付けて販売しているつもりでも警告を受けてしまうことはあります。
その際は、お伝えした内容で解決を試みてください。
僕自身が実際にいろいろな販路で体験している内容をお伝えしているので、実効性はお約束します。
これらの仕入れは避けて、安全な商品のみ販売していくようにしましょう。
まとめ
- せどりや転売に違法性はなくても、商標権を無視することは違法になる
- 適切な対応で回避できる場合がほとんど。ただしアカウント停止の危険性もある
- 商標権リスクのある商品はリサーチである程度選定できる
- できるだけ自由競争可能な商品のみ取り扱うよう注意すること